World Coffee in Good Spirits Championship
統合分析 — 5 Years · 30 Finalists · 60 Drinks
WCIGS ファイナル 統合分析(5年間・60杯)
2022年ミラノから2026年ブリュッセルまで、5年間30名のファイナリストが提供した計60杯(デザイナードリンク30杯+アイリッシュコーヒー30杯)のデータを統合分析。産地・品種・アルコール度数・フレーバー・マウスフィール・テクスチャー・抽出方法の全横断分析。
🏆 歴代チャンピオン
🍸 推定ABV平均の推移
傾向:Designerは2023年(11.0%)をピークに低下傾向が続き、2026年は約6.3%(ただし優勝PhileinのSaturnは約10%と例外的に高め)。ICは年々微増(3.7%→4.8%)。全年度を通じ優勝者のICのABVは常に中庸で、アルコール量よりフレーバーの複雑さで勝負する戦略が5年間一貫して成功している。※2026年は当サイトの推定値。
ABV推定値の計算方法について
本資料のABV(アルコール度数)は、各選手がプレゼンテーション中に発言したレシピ情報をもとに、以下の統一的な計算式で推定したものです。レシピの材料量や度数の聞き取りに誤差がある可能性はありますが、計算式自体は全60杯で一貫しており、選手間の相対的な比較には有効です。
大会では審査員用に2杯分を同時に作成します。レシピは2杯分の合計量で記載されていることが多いため、1杯あたりに換算して計算します。
ゴールドワッサー・ライ:20ml × 43% = 8.6ml(2杯分)→ 1杯あたり 4.3ml
グレンモーレンジィ18年:35ml × 43% = 15.05ml(2杯分)→ 1杯あたり 7.5ml
合計純アルコール(1杯)= 4.3 + 7.5 = 11.8ml
コーヒー抽出液:粉40g / 湯380g → 収量 約300ml ÷ 2杯 = 約150ml
スピリッツ:(20 + 35)÷ 2 = 約27.5ml
シロップ:50ml ÷ 2 = 約25ml
クリーム:推定 約35ml
合計(1杯)= 150 + 27.5 + 25 + 35 ≈ 約237.5ml
ABV = 11.8ml ÷ 237.5ml × 100 = ≈ 4.97%(→ 約4.9%と表記)
以下の要素は本計算には含まれていません。実際のABVは本推定値よりもやや低い可能性があります。
・加熱によるアルコールの蒸発(ICは50〜60℃で提供)
・コーヒー粉による液体の吸収(抽出収量の変動)
・氷やガーニッシュによる希釈
・クリームの正確な量(プレゼンテーションでは具体量が明示されないケースも多い)
ただし、この計算式は全60杯に対して同一の方法で適用しているため、選手間・年度間の相対的な比較としては一貫性があります。
🌍 コーヒー産地の推移(2022–2026)
| 産地 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|---|---|---|
| コロンビア | 62.5% | 37.5% | 75% | 29% | 75% |
| パナマ | 25% | 37.5% | 12.5% | 43% | 12.5% |
| エチオピア | — | 12.5% | — | 14% | — |
| ペルー/ケニア/マレーシア/他 | 12.5% | 25% | 12.5% | 7% | — |
傾向:コロンビアは2022年(62.5%)→2024年(75%)と支配的だったが、2025年にはパナマ(43%)に首位を奪われた。ゲイシャ品種の人気拡大とともにパナマ産の存在感が年々増大。2023年は5カ国に分散し最も多様性が高い年。2026年はコロンビアが75%(豆ロット8本中6本)と大きく回帰——ただし優勝したPhileinだけがパナマ(Finca Deborah)で、「勝ち豆」としてのパナマ・ゲイシャの地位は継続した。
🌱 使用された農園・生産者
5年間で延べ25前後の農園・生産者が登場。特定の農園が「ファイナル常連」として定着する傾向が見られる。
| 年度 | 農園 / 生産者 | 産地 | 品種 | 使用選手 |
|---|---|---|---|---|
| 2022 | アルティエリ農園 | パナマ | ゲイシャ | 🥇Agnieszka(DD) |
| エル・ブロ | パナマ | ゲイシャ | Christos(DD+IC) | |
| フィンカ・ポトシ | コロンビア | SL28 | Nelson(IC) | |
| ジョホール州農園 | マレーシア | リベリカ | Danny W.(DD+IC) | |
| 農園不明 ×3 | コロンビア | パカマラ/シドラ/他 | Agnieszka, Vlad, Sheila | |
| 2023 | Ninety Plus | パナマ | ボルカン・ゲイシャ | Christos(DD) |
| エル・ブロ | パナマ | ゲイシャ | Christos(IC) | |
| アブー・コーヒー | パナマ | ゲイシャ | Sion(IC) | |
| フィンカ・ガスコン | グアテマラ | — | 🥇Rasty(DD) | |
| エル・プラセール | コロンビア | — | 🥇Rasty(IC) | |
| ンガチャ農園 | ケニア | SL28 | Danny A.(IC) | |
| ミラン農園 | コロンビア | — | Marco(DD+IC) | |
| 2024 | エル・ディビソ ×4ロット | コロンビア | オンブリゴン/B.シドラ | Andrea, Yessylia, Sin Jay |
| チュルパンパ農園 | ペルー | ゲイシャ | 🥇Wi(DD+IC) | |
| フィンカ・デボラ | パナマ | ゲイシャ | Sin Jay(DD) | |
| 農園不明 ×2 | コロンビア | B.ピミエンタ/スダンルメ/他 | Sandro, Chloe | |
| 2025 | Ninety Plus ×3ロット | パナマ | ゲイシャ(Ruby/Yuzo/他) | Van(DD+IC), Christos(IC) |
| アイリス・エステート | パナマ | ゲイシャ「Aril」 | Danny W.(DD) | |
| フィンカ・デボラ | パナマ | ゲイシャ | Vlad(DD ブレンド) | |
| ジャミソン・サベージ | パナマ | ゲイシャ | Gary(IC) | |
| ラス・トーレス | コロンビア・ウィラ | ジャワ | 🥇Odi(IC) | |
| ラ・リヴィエラ | コロンビア | スダンルメ | Gary(DD) | |
| Project Origin | エチオピア・ゲデブ | モカ | Christos(DD) | |
| 2026 | Finca Deborah「Parabola」(Savage) | パナマ | ゲイシャ(ナチュラル) | 🥇 Philein(DD+IC) |
| Finca Las Flores(Jhoan Vergara) | コロンビア | Java種/チローソ | Shkliarov(IC)・Yu(DD+IC) | |
| Finca Negrita(聞き取り) | コロンビア | ゲイシャ(窒素置換嫌気) | 🥉 Zushi(DD+IC) | |
| (農園非明示のロット) | コロンビア/ジャワ | ゲイシャ×2・SL28・リベリカ | Wu/Chan/Shkliarov(DD) |
傾向:Ninety Plus(パナマ)とエル・ディビソ(コロンビア)が各4回でファイナル最頻出農園。Ninety Plusは独自の精製プロセス(Ruby, Yuzo等のロット名制)でゲイシャの個性を分化し、ファイナリストの差別化素材として定着。エル・ディビソはオンブリゴン種の安定供給源として2024年に3名が採用。エル・ブロ(パナマ)はChristosが2022年・2023年と連続使用し、農園との長期的関係構築が見られる。2025年は7つの異なる農園が登場し、農園の多様性が過去最高。生産者との共同開発(Danny A.のハイブリッドナチュラル、Sin Jayのチルプロセス等)もファイナルレベルの差別化要因に。2026年はFinca Las Flores(コロンビア・Jhoan Vergara)が2名(Java種のShkliarov・チローソのYu)に採用され新たな「常連候補」に。優勝豆はFinca Deborah(パナマ)の「Parabola」ゲイシャだった。
🧬 品種トレンド(5年間累計)
ゲイシャが5年間で延べ18ロットと圧倒的。使用率は2022年(2)→2023年(4)→2025年(6)→2026年(4)と高水準を維持。2026年はSL28・チローソ・Java・リベリカと「品種名がストーリーを語る」選択が過去最多の広がりを見せた。一方、リベリカやラウリーナなど「品種名そのものがストーリーの核」となるケースも増加。嫌気性発酵は2022年の約7割から2025年には全員採用に。
🍓 フレーバーカテゴリの推移(細分化版・2022–2026)
各セルの数字は6杯中何杯でそのカテゴリのフレーバーが表現されたかを示す。フルーツ系を5サブカテゴリに細分化し、DD/ICそれぞれの特性を可視化。
| カテゴリ | Designer Drinks | Irish Coffee | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 計 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 計 | ||
| 🍑 フルーツ系 | |||||||||||||
| ストーンフルーツ | 5 | 2 | 1 | 4 | 1 | 13 | 4 | 3 | 4 | 4 | 2 | 17 | |
| チェリー・ピーチ・プラム・アプリコット・ネクタリン等 | |||||||||||||
| シトラス / 柑橘 | 3 | 4 | 3 | 4 | 2 | 16 | 1 | 2 | — | — | 0 | 3 | |
| オレンジ・柚子・グレープフルーツ・ライム・ブラッドオレンジ等 | |||||||||||||
| トロピカル | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 10 | 1 | 1 | 1 | — | 3 | 6 | |
| パッションフルーツ・パイナップル・マンゴー・ライチ等 | |||||||||||||
| ベリー類 | 1 | 2 | 4 | 1 | 1 | 9 | — | 2 | 1 | 1 | 1 | 5 | |
| ラズベリー・ブルーベリー・ブラックベリー・ストロベリー・クランベリー等 | |||||||||||||
| ブドウ / レーズン / ドライフルーツ | 1 | 3 | — | — | 2 | 6 | 3 | 4 | 4 | 3 | 2 | 16 | |
| レーズン・ブドウ・イチジク・バナナ・ドライフルーツ等 | |||||||||||||
| 🍫 非フルーツ系 | |||||||||||||
| チョコレート / カカオ | 1 | 1 | 3 | 1 | 2 | 8 | 5 | 2 | 6 | 6 | 2 | 21 | |
| キャラメル / バニラ / トフィー | — | 1 | — | 1 | 0 | 2 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 20 | |
| フローラル | 2 | 3 | 3 | 3 | 0 | 11 | — | — | — | — | 1 | 1 | |
| ジャスミン・ローズ・ラベンダー・オレンジブロッサム・スミレ・エルダーフラワー | |||||||||||||
| スパイス / ハーブ | 2 | 2 | 4 | 1 | 3 | 12 | 2 | 1 | — | 1 | 1 | 5 | |
| ナッツ類 | 1 | — | — | 1 | 0 | 2 | — | 1 | 1 | 3 | 1 | 6 | |
| 菓子 / ペストリー | 3 | 1 | — | 2 | 6 | 2 | 4 | 3 | 1 | 10 | |||
| ブラックフォレストケーキ・ティラミス・バノフィーパイ・バタークッキー等 | |||||||||||||
DD傾向:シトラス/柑橘(14杯)がDD最多のサブカテゴリ。トロピカル(10杯)がそれに続く。フローラル(11杯)はDD専用に近い存在。ブドウ/レーズン系はDDでは極めて稀(4杯)。冷たい温度帯で映えるフレッシュ系フルーツが選ばれる傾向。2026年のDDはチェリー2・ブドウ/レーズン2・シトラス2・ベリー1・スパイス3・旨味/セイバリー3と、フルーツからセイバリー/スパイスへ軸足が移動した。
IC傾向:チョコレート/カカオ(19杯→2026年+2で累計21杯)がIC最大カテゴリ。2025年は6杯全杯に登場したが、2026年は2/6杯に急減——Kavalanシェリーカスクの「ラムレーズン」系変換がチョコの座を奪った。キャラメル/バニラ/トフィー(16→20杯)、ブドウ/レーズン(14→18杯)、トロピカル(2026年+3:パイナップル・マンゴー)が上昇。ウイスキー樽由来のドライフルーツノートがIC構造を規定する傾向は5年目でさらに強化。
DD vs IC の構造的な違い:DDではシトラス(14)>ストーンフルーツ(12)>フローラル(11)>トロピカル(10)とフレッシュ系が多様に分散。ICではチョコレート(19)>キャラメル/バニラ(16)>ストーンフルーツ(15)>ブドウ/レーズン(14)とウォーム系に集中。ストーンフルーツ(特にチェリー)は両カテゴリで高頻度に出現する唯一のフレーバーファミリーで、DDではフレッシュチェリー、ICではチェリー×チョコレートの組合せとして現れる傾向が強い。
👅 マウスフィール / テクスチャー / ボディの5年間推移
傾向:「シルキー」(8杯)と「ジューシー」(7杯)がDD特有の最頻出表現。ICでは稀な「ジューシー」「爽やか」「フィズィ」「ムース」がDDに集中しており、冷たい温度帯でのフレッシュで軽快な質感設計が特徴。
傾向:「クリーミー」と「滑らか」が各8杯で圧倒的。DDで多い「ジューシー」「爽やか」「フィズィ」はICでゼロ。温かいクリーム層が生む「丸み」「ベルベット」がIC特有の表現として定着。
DDではガス充填・分子調理法など「化学的手法」が主流。ICではクリームの脂肪分管理・温度差・高濃度抽出レシピなど「物理的手法」が主流。
ボディ・ウェイト(重さ)の傾向
プレゼンテーション中に明示的にボディの重さに言及した選手のデータを抽出。全60杯中、ボディ・ウェイトを具体的に宣言したのは約23杯(うち2026年は8杯:DDはミディアム中心+Phileinの「軽い」宣言、ICは全員ミディアム帯)。
Christos 2023(ライトなボディ)
Danny 2025(→より軽くシルキーに変化)
Philein 2026(軽いマウスフィール・「銀のような」質感)
Sandro 2024(ミディアムボディ)
Danny 2025(ミディアムWT→変化)
Shkliarov 2026 / Wu 2026 / Zushi 2026(各ミディアムボディ)
Sion 2023(ミディアムボディ)
Danny 2025(ミディアムWT)
Zushi 2026 / Chan 2026 / Yu 2026(ミディアム帯・Yuは3口の温度遷移つき)
Danny W. 2022(リッチ→ベルベット)
Christos 2023(シロップのような)
Vlad 2025(しっかりとしたボディ / 71g)
Gary 2025(満足感のある口当たり)
DD vs IC の顕著な違い:DDでは「ライト」「ミディアム」が中心で、重いボディは宣言されにくい。冷たい温度帯で爽やかさを優先する設計意図が反映されている。対してICでは「リッチ / しっかり」が最多カテゴリ(5杯)で、高濃度抽出レシピ(Vlad 71g:400g等)や高脂肪クリーム(Gary 47%)がボディ強化に直結。ICでは「ライト」の宣言が5年間でゼロという点が象徴的。2026年:DDはラウンド2・ジューシー1・スムース1・シルキー1・「銀のような」軽さ1(Philein)と多様化。ICは6杯全てがクリーミー/スムース系で伝統の質感を堅持。Zushiの47%高脂肪クリームやYuの3段階温度遷移(9→50→48℃)など、質感の時間設計が新機軸。
総合的なDD vs IC の傾向:DDはシルキーでジューシーな軽快さが求められ、ガス技術や分子調理法で独創的なテクスチャーを生み出す。ICはクリーミーで滑らかな厚みが求められ、クリームの脂肪分と温度コントラストでボディを構築する。両カテゴリを通じて「1口目と変化後」の二重テクスチャー宣言が2025年のファイナルレベルで主流化しつつある。
🍹 デザイナードリンクに使用されたスピリッツ・リキュール・シロップ類
5年間30杯のデザイナードリンクで使用された主要材料を、スピリッツ(蒸留酒)、リキュール・ワイン・ビターズ、シロップ・コーディアル・自家製材料の3カテゴリに分類。
| カテゴリ | 銘柄 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ジン | 六(ROKU)ジン | ● | — | — | — | — |
| カバラン・ジン / パナレア・ジン | ● | — | — | — | ● | |
| GINRAW | — | — | ● | — | — | |
| 急速インフューズ・ジン(カスカラ+ドライアイス) | — | ● | — | — | — | |
| カカオバター・ファットウォッシュ・ジン | — | — | ● | — | — | |
| ラム | ディプロマティコ | ● | ● | — | — | — |
| ホワイトラム / セルバレイ(パナマ産) | — | ● | — | — | — | |
| ジャマイカン・ラム / カリブ海産ラム | — | ● | — | — | — | |
| パイナップル・ラム / スパイスド・ラム(自家製) | — | ● | — | ● | — | |
| ダークラム(カカオハスク同時抽出) | — | — | ● | — | — | |
| ウォッカ | ニッカ カフェウォッカ / カフェグレーン | — | — | — | ● | — |
| シープホエイウォッカ(羊乳ホエイ蒸留) | — | — | — | ● | — | |
| スイス産ウォッカ / ケテルワン / アブソルート / サントリー白 | — | — | ● | ● | — | |
| テキーラ/メスカル | ドン・フリオ / パトロン / テキーラ(銘柄不明) | — | — | ● | — | — |
| メスカル(伝統的) | — | — | ● | — | — | |
| ブランデー/コニャック | コニャック特別版 / トーレス・ブランデー / グラッパ | ● | ● | ● | — | |
| その他 | ソジュ(ダムソル)/ マルメロのジン | ● | — | — | ● | |
| 2026新登場 | ムーンジン(月隕石浸漬・ベルギー)/ ピスタチオブランデー | — | — | — | — | ● |
| 山崎蒸溜所貯蔵 梅酒 / イチジク葉インフューズ米焼酎 | — | — | — | — | ● | |
| 赤ワイン樽モルト(鴨脂8%+海鮮醤6%ファットウォッシュ) | — | — | — | — | ● | |
| Martell NCF コニャック / Rémy Martin VSOP / Larceny バーボン | — | — | — | — | ● |
ジン・ラムの二大構図の外側で、梅酒・米焼酎・鴨脂ウォッシュモルト・月隕石ジンなど「物語を語る変則スピリッツ」が主役化。定番スピリッツを軸にした構成は減り、素材選び自体がプレゼンテーションになった。
ジンは5銘柄以上、ラムは5種以上が使用。ウォッカは2024年以降に増加。テキーラは2024年に集中。
アペリティーボ系カクテルの定番素材。2022年Aga、2023年Tanpong、2024年Wi+Sin Jay、2025年Odiが採用。
ファットウォッシュ、嫌気性発酵コーディアル、ヘリウム雲、スフェリフィケーション等、年々複雑化するDIY材料。
2022年Danny W.、2024年Wi、2025年Danny W.と3年で使用。コールドカクテルの希釈+炭酸感の供給源。
スピリッツ:山崎蒸溜所貯蔵梅酒・イチジク葉インフューズ米焼酎(Zushi)/赤ワイン樽モルトの鴨脂+海鮮醤ファットウォッシュ(Yu)/ムーンジン・ピスタチオブランデー(Philein)。ワイン・リキュール:フィノシェリー45ml・順昌源ライチリキュール(Philein)/紫米甘口ライスワイン(Yu)/伊ヴェルモット(Shkliarov)。自家製・シロップ:ソルガム糖シロップ&白ぶどうコンブチャ(Shkliarov)/豚骨ジンジャーサリン(Wu)/麹シロップ(Zushi)/チローソ・シュラブ&玄米茶×甘酒フォーム&ブルーガム蜂蜜(Yu)/Scrappy'sラベンダービターズ(Philein)——セイバリー・発酵・和素材の三潮流が素材リストを一気に拡張した。
🥃 アイリッシュコーヒーに使用されたウイスキー銘柄
5年間30杯のICで延べ45本前後のウイスキーが使用された。スポンサー銘柄の有無がセレクションに大きく影響している。2026年のスポンサースピリッツはKavalan——公式スポンサー一覧には未掲載だが、現地観戦者からの聞き取りで確認。2023・2024年に続く3度目の指定で、今回も6人全員が使用した。
| 年度 | 選手 | スポンサー銘柄 | 自主選択銘柄 |
|---|---|---|---|
| 2022 | 🥇 Agnieszka | Tullamore D.E.W. 10ml | Glenfiddich 18年 15ml |
| 🥈 Vladyslav | Tullamore D.E.W. 20ml | Compass Box 20ml + Macallan 10ml | |
| 🥉 Sheila | Tullamore D.E.W. 20ml | Teeling 50ml(ラム樽) | |
| 4th Nelson | Tullamore D.E.W. 20ml | Writer’s Tears 30ml | |
| 5th Danny W. | Tullamore D.E.W. 25ml | Old Potrero Rye 20ml | |
| 6th Christos | Tullamore D.E.W. | Teeling Pot Still | |
| 2023 | 🥇 Rasty | Kavalan Triple Sherry 30ml | Blanton’s 15ml |
| 🥈 Tanpong | Kavalan 30ml | — | |
| 🥉 Danny A. | Kavalan 30ml | Redbreast 15ml | |
| 4th Christos | Kavalan Triple Sherry | — | |
| 5th Sion | Kavalan 37.5ml | Dad’s Hat Rye 12.5ml | |
| 6th Marco | Kavalan 30ml | 知多 20ml(日本) | |
| 2024 | 🥇 Wi | Kavalan Triple Sherry 30ml | Ki One 15ml(韓国) |
| 🥈 Sandro | Kavalan Triple Sherry 50ml | — | |
| 🥉 Andrea | Kavalan Triple Sherry 40ml | — | |
| 4th Yessylia | Kavalan 70ml(最大量) | — | |
| 5th Sin Jay | Kavalan 15ml | Buffalo Trace 10ml | |
| 6th Chloe | Kavalan 30ml | Teeling 35ml(煮沸) | |
| 2025 | 🥇 Odi | — | Goldwasser Swiss Rye 20ml + Glenmorangie 18年 35ml |
| 🥈 Danny W. | — | Gospel Rye 20ml + Angel’s Envy Rye 20ml(豪・米) | |
| 🥉 Van | — | Gouden Carolus Single Malt 50ml(ベルギー) | |
| 4th Christos | — | Säntis Malt + Woodford Reserve MC 30ml(スイス・米) | |
| 5th Vlad | — | Säntis 10ml + Kavalan Port 10ml + Compass Box 5ml | |
| 6th Gary | — | Ghost Rye(香港)+ ミズナラ 25ml(日本) | |
| 2026 | 🥇 Philein | Kavalan 30ml | スコッチ 10ml |
| 🥈 Wu | Kavalan トリプルシェリーカスク 20ml | Larceny 30ml | |
| 🥉 Zushi | Kavalan トリプルシェリーカスク 30ml | 12年(Redbreast推定)15ml | |
| 4th Yu | Kavalan トリプルシェリーカスク 25ml | Redbreast 12年 25ml | |
| 5th Shkliarov | Kavalan トリプルシェリーカスク 20ml | Teeling スモールバッチ 35ml | |
| 6th Chan | Kavalan トリプルシェリーカスク 60ml(単独・最大量) | — |
2022年のTullamore D.E.W.、2023–2024年と2026年のKavalanは、いずれも6人全員が使用(2026年分は公式一覧未掲載・現地確認情報)。スポンサー銘柄を「ベース」に据え、差別化は「2本目」の自主選択銘柄で行う構図は2026年も継続——5/6名がRedbreast・Teeling・Larceny等を重ねた。指定が無かったのは2025年のみで、その年だけ銘柄が一気に多様化した。
ウイスキースポンサー不在の2025年は11銘柄・10カ国と過去最多の多様性。スイス・ベルギー・香港・オーストラリアなど新興産地が一気に登場。
2025年は6人中4人がライウイスキーを選択(Gospel, Angel’s Envy, Goldwasser, Ghost)しスパイシー路線が台頭したが、2026年はKavalanがスポンサー指定に戻り、6人全員が使用(トリプルシェリーカスク5名・20〜60ml)。「シェリー樽のレーズン香がコーヒーの果実味を『ラムレーズン』へ変換する」説明がほぼ共通言語化し、亜熱帯熟成×シェリーカスクの年になった(Kavalanは2026年World Whiskies Awards「Distiller of the Year」)。
Wi(韓国産Ki One)、Gary(香港産Ghost)、Odi(スイス産Goldwasser)など、自国・テーマと産地を一致させる選択が優勝候補に共通。
☕ 抽出方法の5年間推移
クレバーがIC用に2023年以降圧倒的主流に。10分間の制限時間内での安定性から収束。2025年優勝Odiはフィルターのみで優勝し、エスプレッソ不要という新たな可能性を提示。
🌡 提供温度の5年間推移
| カテゴリ | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|---|---|---|
| コールドDD | 2〜10℃ | 2〜5℃ | 5〜10℃ | 3〜10℃ | 約10℃ |
| ウォームDD | 42℃ | 42〜50℃ | 43〜55℃ | 40〜43℃ | 36〜52℃ |
| IC液体 | 35〜65℃ | 50〜60℃ | 50〜60℃ | 40〜60℃ | 45〜55℃ |
| ICクリーム | 4〜8℃ | 4〜7℃ | 5〜10℃ | 4〜15℃ | 45〜55℃ |
IC液体50〜55℃、クリーム4〜8℃が「型」として確立。2022年Vladの35℃は大会史上最低温IC。全年度を通じ温度を具体数値で宣言する文化が定着。2026年はYuの3段階温度物語(トップ9℃→ベース50℃→一体化48℃)やPhileinの「55℃×10℃=メロンアイス」など、口内での温度変化そのものをレシピ化する段階に到達した。
2022–2026 大会進化のサマリー
コロンビア一強(2022/2024)→多様化(2023)→パナマ台頭(2025)→コロンビア回帰(2026・75%)。年度ごとに「トレンド産地」が大きく変動するが、優勝豆は2年連続でパナマ系ゲイシャ。
ゲイシャは全年度で使用されるが、リベリカ・ラウリーナ・オンブリゴンなど「品種名がプレゼンの核」になるケースが増加。
嫌気性発酵は「差別化」から「前提条件」に進化。2022年約7割→2025年全員採用。独自発酵法の開発が差別化の核心に。
2022年:五感演出(ヘリウム雲・ドライアイス)→ 2023年:クラシック再構築 → 2024年:ガス技術 → 2025年:インタラクティブ味変化。
5年連続でABV中庸。テーマの一貫性、文化的ナラティブ、商業性の提案が共通勝因。
フルーツ/ベリーが60杯中53杯前後。チェリー(22杯前後)が最頻出単体フレーバー。ICのチョコレート系は2025年まで必須級だったが、2026年はシェリーカスク由来のレーズン系に主役を譲った。
「シルキー」「クリーミー」が全年度最頻出。窒素・エアレーションが主要手段。「1口目と変化後」の二重宣言が主流化。
IC液体50〜55℃、クリーム4〜8℃が「型」として確立。コールド2〜10℃。温度を具体数値で宣言する文化が定着。
2026年ブリュッセル決勝(6名)——統合トレンドはどう動いたか
World of Coffee ブリュッセル(6月25–27日)。Andy Philein(中国)が「Saturn」と「Afterglow of the Cosmos」で優勝、2位Sion Wu、3位には日本のAkira Zushi(KOFFEE MAMEYA Kakeru)が入った。上の各統計(2022–2025年集計)に対し、2026年の6名・12杯がトレンドをどう更新したかを本節で分析する。個別の詳細はWCIGS 2026 分析へ。
| 順位 | 選手 | コーヒー | デザイナードリンク | アイリッシュの酒 |
|---|---|---|---|---|
| 🥇 | Philein 🇨🇳 | 🇵🇦 Finca Deborah「Parabola」ゲイシャ | コールド「Saturn」(シェリー×ライチ) | Kavalan 30+スコッチ 10 |
| 🥈 | Wu 🇹🇼 | 🇨🇴 ゲイシャ×2ロット | 小籠包トディ(豚骨ジンジャーサリン) | Kavalan TSC 20+Larceny 30 |
| 🥉 | Akira Zushi 🇯🇵 | 🇨🇴 ゲイシャ(1豆2役) | チョコケーキ(Esp+梅酒+麹+牛乳) | Kavalan TSC 30+12年 15 |
| 4th | Yu 🇦🇺 | 🇨🇴 チローソ(1豆2役) | 北京ダック「Rice Breaker」(鴨脂ウォッシュ) | Kavalan TSC 25+Redbreast12 25 |
| 5th | Shkliarov 🇮🇩 | 🇮🇩 リベリカ+🇨🇴 Java種 | 温アペリティフ(グレープコンブチャ) | Kavalan TSC 20+Teeling 35 |
| 6th | Chan 🇭🇰 | 🇨🇴 SL28(1豆2役) | 魚スープ「Memory」(セイバリー) | Kavalan TSC 60(単独) |
🍸 ABV推移 — 低アルコール化の継続
当ページの推定方法で2026年を算出すると、デザイナードリンク平均は約6.3%(2023年ピーク11.0%からの低下が継続。ただし優勝PhileinのSaturnは約10%と例外的に高め)、アイリッシュ平均は約4.8%(3.7→4.7%の微増傾向を維持)。「アルコール量よりフレーバーの複雑さで勝負」の潮流は5年目も変わらず、優勝者のICは約4.5〜5%と中庸だった。
☕ 産地 — コロンビア回帰(約71%)
2025年はパナマ(43%)が首位だったが、2026年は豆ロットベースでコロンビア5/7(約71%)と大きく回帰(ゲイシャ3・SL28・Java・チローソ)。ただし優勝したPhileinだけがパナマ(Finca Deborah)で、「勝ち豆」としてのパナマ・ゲイシャの地位は継続。品種の多様化(SL28・チローソ・Java・リベリカ)が5年目の新傾向。
🥃 Kavalan 6/6(スポンサー指定)
2022–2025年に37本以上と多様だったIC用ウイスキーだが、2026年はスポンサースピリッツにKavalanが指定され(現地確認・公式一覧未掲載)、全員が使用(トリプルシェリーカスク5名・20〜60ml)。「シェリー樽のレーズン香がコーヒーの果実を『ラムレーズン』へ変換する」説明がほぼ共通言語化し、ライ台頭(2025年4/6)から一転、シェリーカスクの年になった。
🍜 セイバリー3/6 — 主流化の完成
豚骨スープ(Wu・2位)、魚のスープ(Chan)、鴨脂+海鮮醤ウォッシュ(Yu)と半数が旨味・塩味を主役級に配置し、全員が郷土の食の記憶を物語の核にした。一方で優勝のPhileinはセイバリーを使わず「宇宙×シェリー」の透明な古典路線——多様化の中で構成美が勝った点は示唆的。
🔁 「1豆2役」と再現性の言語化
Zushi・Chan・Yuの3名が同一ロットを2杯で使い分け、「同じ豆の別の顔」を構成の軸に。抽出はHario Switch・磁気スターラー(2000rpm)・Cleverなど浸漬系が主流で、「誰でも・どの店でも同じ味」という実装性の宣言が評価の土台として定着した。
🌡️ 温度設計 — 精密化の到達点
ウォーム36〜55℃・コールド約10℃・クリーム5〜10℃と全員が提供温度を宣言。Yuの3段階温度物語(9→50→48℃)、Phileinの「55℃×10℃=メロンアイス」など、口内の温度変化そのものをレシピ化する手法が上位を占め、2022年から続く精密化トレンドの到達点となった。